育成就労制度とは?2027年4月施行の新制度を技能実習・特定技能との違いから解説

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育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消して創設された外国人材の受入れ制度で、2027年4月1日に施行されます。日本での3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育成し、人手不足分野の人材を確保することを目的としています。

本記事では、制度の目的と期間、技能実習との違い、育成就労計画や監理支援機関などの仕組み、転籍のルール、特定技能1号への移行までを、出入国在留管理庁の育成就労制度ページの公表資料をもとに整理します。

監修者

武藤 拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

2018年より外国人人材分野で、技能実習・特定技能で600名超の採用から定着まで支援。2025年は商工会議所セミナーに4回登壇し、制度と実務の両面から外国人採用・定着を支援する専門家です。

資格
申請等取次者、外国人雇用管理主任者

育成就労制度とは(2027年4月1日施行)

育成就労制度は、人手不足分野で外国人を3年間育成し、特定技能1号の水準の人材を確保するための制度で、2027年4月1日から運用が始まります。根拠となる改正法は2024年6月21日に公布されました(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」、2026年7月改訂)。

受入れの対象は「育成就労産業分野」で、特定技能の受入れ対象分野のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当な分野が設定されます。2026年7月時点で、特定技能1号の19分野のうち自動車運送業と航空を除く17分野が育成就労産業分野です。

育成就労は、留学生が卒業後に「技術・人文知識・国際業務」へ移行するための制度ではありません。現場での就労を通じて技能と日本語能力を段階的に身につけ、修了後は特定技能1号へ移行することが想定されています。

技能実習・育成就労・特定技能の違い

技能実習との最大の違いは、目的が「技能移転による国際貢献」から「人材の育成・確保」へ変わったことです。あわせて、本人意向による転籍が一定の要件の下で認められます。3制度の主な違いは次のとおりです(出入国在留管理庁「特定技能制度説明資料」の制度比較より作成)。

項目技能実習(団体監理型)育成就労(監理型)特定技能1号
目的・活動技能実習計画に基づく技能等の修得(国際貢献)特定技能1号水準の技能を有する人材の育成・確保を目的とした技能修得相当程度の知識・経験を必要とする技能を要する業務
在留期間1号・2号・3号の合計で最長5年通算3年(終了時の試験不合格者は再受験のため最長1年延長可)通算5年
技能水準の確認なし就労開始時・1年経過時・終了時に段階的に試験等で確認試験等で確認(技能実習2号良好修了者は免除)
監理・支援監理団体(許可制)監理支援機関(許可制)登録支援機関(出入国在留管理庁長官の登録制)
受入れ人数枠ありありなし(介護・建設分野を除く)
転籍・転職原則不可やむを得ない場合のほか、一定要件の下で本人意向による転籍が可能同一業務区分内などで転職可能

3制度の選び方は特定技能と技能実習・育成就労の違い一覧|制度選択の判断軸で詳しく比較しています。

育成就労制度の仕組みと関係機関

育成就労では、外国人ごとに作成する「育成就労計画」を外国人育成就労機構が認定し、監理型の場合は許可を受けた監理支援機関が受入れを監理します。主な仕組みは次のとおりです(育成就労制度の概要)。

  • 育成就労計画の認定制:育成就労の期間(3年以内)、技能・日本語能力の目標、内容などを記載し、外国人育成就労機構の認定を受けます。
  • 監理支援機関の許可制:雇用関係の成立のあっせんや、育成就労が適正に行われているかの監理を担います。許可基準は厳格化され、技能実習の監理団体も許可を受けなければ監理支援事業を行えません。
  • 受入れの区分:受入れ企業が単独で行う「単独型育成就労」と、監理支援機関が関与する「監理型育成就労」があります。
  • 受入れ見込数:分野別運用方針で分野ごとに受入れ見込数を設定し、受入れの上限として運用します。
  • 適正な送出し:原則として二国間取決め(MOC)を作成した国からのみ受け入れます。

育成就労制度Q&Aによると、送出機関が外国人から徴収できる費用の上限は月給の2か月分までとされ、これを超える分は受入れ企業や監理支援機関が負担します。受入れ企業には常勤職員数に応じた受入れ人数枠があり、家族の帯同は原則として認められません。分野ごとの協議会への加入も受入れ企業の義務です。

監理支援機関と登録支援機関の役割の違いは監理団体と登録支援機関の違いを解説した記事を参考にしてください。

外国人に求められる技能と日本語の水準

育成就労では、就労開始時・1年経過時・終了時の3段階で技能と日本語能力を試験等で確認します。各段階の主な水準は次のとおりです(育成就労制度の概要)。

  • 就労開始まで:日本語能力A1相当以上の試験(国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験N5等)に合格するか、相当する日本語講習を受講する
  • 1年経過時:技能検定基礎級等と、A1相当以上からA2.1相当以上の範囲で分野ごとに設定された日本語試験
  • 終了時(特定技能1号移行時):技能検定3級や特定技能1号評価試験等と、日本語能力A2.2相当以上の試験(国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験N4等)

「A1」「A2」などは文化庁の「日本語教育の参照枠」のレベルです。分野ごとの試験の種類や水準は異なるため、採用予定の分野の基準を出入国在留管理庁の資料で確認してください。

本人意向による転籍のルール

育成就労では、一定の要件を満たせば外国人本人の意向で同じ分野内の別の受入れ企業へ転籍できます。主な要件は次のとおりです(育成就労制度Q&A)。

  • 同じ受入れ企業での就労期間が、分野ごとに1年以上2年以下の範囲で定める転籍制限期間を超えていること
  • 分野ごとに定める一定水準の技能と日本語能力を修得していること
  • 転籍先が優良な育成就労実施者であり、受入れ人数枠などの基準を満たしていること

転籍の手続きは、監理支援機関・外国人育成就労機構・ハローワークが連携して支援します。受入れ企業にとっては、待遇や職場環境を整えて定着を図ることが、これまで以上に重要になります。分野ごとの転籍制限期間や要件の細部は分野別運用方針で定められるため、採用予定の分野の資料で確認してください。

特定技能1号への移行

育成就労を終えた外国人は、技能試験と日本語試験に合格すれば特定技能1号へ移行できます。技能は技能検定3級等または特定技能1号評価試験、日本語はA2.2相当以上の試験の合格が要件です(育成就労制度Q&A)。

技能実習2号を良好に修了した場合のような試験免除はありません。終了時の試験に不合格となった場合は、再受験のため最長1年の在留継続が認められます。特定技能1号へ移行した後は通算5年、2号へ進めば在留期間の更新に上限はありません。

移行の要件や手続きの流れ、企業側の準備は育成就労から特定技能への接続を解説した記事で詳しく説明しています。

施行までのスケジュールと技能実習の経過措置

育成就労制度は2027年4月1日に施行されますが、施行日前申請はすでに始まっています。育成就労制度Q&Aによると、監理支援機関の許可は2026年4月15日から、育成就労計画の認定は2026年9月1日から施行日前申請を受け付けています。

施行日以降も、次の場合は技能実習を続けられます(育成就労制度の概要)。

  • 施行日時点で技能実習を行っている場合(1号から2号への移行は可能。3号への移行は、施行日時点で2号を1年以上行っている人に限る)
  • 施行日前に技能実習計画の認定を申請している場合(施行日から3か月以内に開始する計画に限る)

この場合は技能実習制度のルールが適用され、技能実習から育成就労へ移ることはできません。現在技能実習生を受け入れている企業は、実習修了後に特定技能へ切り替える選択肢もあります。手続きは技能実習から特定技能への切り替えを解説した記事で確認できます。

まとめ|育成就労は特定技能1号につながる育成の制度

育成就労制度は、技能実習に代わって2027年4月1日に施行される制度で、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育成・確保することを目的としています。育成就労計画の認定、監理支援機関の許可制、段階的な試験、一定要件の下での本人意向による転籍が主な特徴です。

分野別の運用方針や試験の詳細は、出入国在留管理庁や分野所管省庁の資料で順次更新されます。受入れを検討する企業は、出入国在留管理庁の育成就労制度ページで最新の資料を確認しながら準備を進めてください。特定技能制度については特定技能の制度概要、支援の委託先については登録支援機関の選び方もあわせてご覧ください。