特定技能「林業」の受入れガイド|対象業務・試験・協議会加入などの要件を解説
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林業は、2024年3月に特定技能1号の受入れ対象分野に追加されました。業務区分は「林業」の1区分で、試験に合格した外国人を育林や素材生産などの現場で直接雇用できます(2026年10月時点)。
本記事では、特定技能「林業」で従事できる業務、外国人に求められる技能・日本語の水準、受入れ企業が満たすべき要件、技能実習・育成就労との関係を、出入国在留管理庁の林業分野ページと林野庁の外国人材受入れページの公表資料をもとに整理します。
特定技能制度の全体像は特定技能の制度概要で先に確認しておくとスムーズです。
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林業は2024年3月から特定技能1号の対象分野
林業は、2024年3月に自動車運送業・鉄道・木材産業とともに特定技能の受入れ対象分野へ追加されました。現在の特定技能1号は19分野(うち物流倉庫・資源循環は準備が整い次第運用開始)、特定技能2号は11分野で、林業は1号の対象です(出入国在留管理庁「特定技能制度説明資料」、2026年10月時点)。
受入れの背景について、林業分野の運用方針は、林業従事者数が2010年の5万1,000人から2020年の4万4,000人へ14%減少したことや、山村地域の高齢化を挙げています。所管は農林水産省(林野庁)で、分野の詳しい基準は林業分野の運用要領に定められています。
出入国在留管理庁の資料によると、林業分野の特定技能1号の在留者数は19人です(2026年6月末現在の速報値)。受入れが始まって間もない分野のため、手続きの実例はまだ多くありません。最新の運用は林野庁の公表資料で確認してください。
特定技能「林業」で従事できる業務
特定技能「林業」で主に従事できるのは、育林や素材生産などの林業の作業です。林業技能測定試験の合格で確認された技能を要する業務が「主たる業務」とされています。
あわせて、同じ業務に従事する日本人が通常行う関連業務にも付随的に従事できます。運用要領と林野庁「林業分野における外国人材受入れの手引き」では、関連業務の例として次の作業が挙げられています。
- 受入れ機関が生産した林産物を使って林内で行う製造・加工の作業
- 林産物の生産に伴う副産物(樹皮、つる等)を使った製造・加工の作業
- 機器・装置・工具等の保守管理、資材の管理・運搬
- 事業所等の清掃作業
関連業務だけに専ら従事させることは認められていません。また、林業分野の雇用形態は直接雇用に限られ、派遣による受入れはできません。
外国人に求められる技能と日本語の水準
特定技能「林業」で働くには、原則として「林業技能測定試験」と日本語試験の両方に合格する必要があります。日本語試験は「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」です(林業分野の運用方針)。
林業技能測定試験の概要
林野庁の手引きと林業技能測定試験 試験実施要領によると、試験の概要は次のとおりです。
- 実施主体:一般社団法人林業技能向上センター
- 試験内容:学科試験と実技試験。日本語(ひらがな・カタカナ、またはふりがな付きの漢字)で出題
- 水準:林業職種の技能検定3級と同程度。学科65%以上、実技60%以上の得点で合格
- 実施場所:国内と国外で実施するとされているが、当面は国内のみの予定
- 受験資格:試験日に満18歳以上であること
出入国在留管理庁の資料では、2026年6月末までの林業分野の技能試験は国内で実施され、受験者は53人、合格者は32人です。試験日程や申込方法は、林業技能向上センターの特定技能試験の案内ページで確認してください。
技能実習2号修了者の試験免除
林業職種(育林・素材生産作業)の技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。日本語試験は、修了した技能実習2号の職種にかかわらず免除されます(林業分野の運用要領)。
受入れ企業に求められる要件
林業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、特定技能制度共通の基準に加えて、在留資格の申請前に「林業特定技能・育成就労協議会」へ加入する必要があります。協議会は農林水産省が組織し、林野庁経営課が事務局を務めています(林野庁の手引き、2026年8月版)。
協議会の加入要件
林業は労働災害の発生率が高いことから、協議会への加入には労働安全衛生に関する上乗せ要件があります。
- 育林・素材生産の場合:「林業労働力の確保の促進に関する法律」に基づく認定事業主であるか、「森林経営管理法」に基づき都道府県知事が公表した民間事業者であること
- 種苗生産・薪炭の作業のみの場合:林業の作業安全規範に基づく事業者向けチェックシートで取組状況を協議会へ提出すること
- 「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づき、安全な伐木作業方法や緊急時の連絡体制を特定技能外国人に指導・教育すること
林野庁の林業分野Q&A(2026年8月)では、受け入れられるのは林業を主に行う事業者に限られず、他の業種と兼務している事業者も含まれるとされています。1事業者あたりの受入れ人数の上限は、現在のところ設けられていません。
特定技能制度共通の義務
報酬は同等の業務に従事する日本人と同等以上とし、雇用契約締結前1年以内に同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないことなどが求められます。受入れ企業は1号特定技能外国人に対して義務的支援10項目を実施し、出入国在留管理庁へ年1回の定期届出を行います。支援は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた登録支援機関に委託できます。林業分野で委託する場合は、協議会と農林水産省に必要な協力を行う登録支援機関に委託することが条件です。
支援の中身は登録支援機関の義務的支援で、委託先の確認ポイントは登録支援機関の選び方で解説しています。
在留期間と特定技能2号の扱い
林業分野は特定技能1号のみの受入れで、特定技能2号の対象分野には含まれていません(2026年10月時点)。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です(林野庁の手引き)。
在留期間が通算5年を超えない範囲であれば、雇用契約の終了後に別の林業経営体と雇用契約を結び、在留資格変更許可を受けて働くことができます。全国に施業地を持つ林業経営体に雇用される場合は、雇用主が変わらない限り各地の施業地で業務に従事できます(林野庁の林業分野Q&A)。
技能実習から移行した場合、第2号技能実習の修了者は実習の3年間に加えて特定技能1号で通算最長5年、第3号技能実習の修了者は実習の5年間に加えて通算最長5年在留できます。
技能実習・育成就労と特定技能「林業」の関係
林業は、技能実習・育成就労・特定技能のいずれの制度でも受入れが可能です。技能実習では「林業」職種(育林・素材生産作業)が2号移行対象職種で、特定技能の業務区分「林業」に対応しています(特定技能制度説明資料)。
2027年4月1日には技能実習に代わる育成就労制度が施行され、林業は育成就労の対象となる17分野の1つです。林野庁の手引きによると、育成就労では育林・素材生産を必須業務とし、作業時間全体の3分の1以上を充てることなどが求められます。育成就労を修了した外国人は、技能検定3級等と日本語能力A2.2相当の試験に合格すると特定技能1号へ移行できます。
育成就労制度の仕組みは育成就労制度の解説記事、特定技能への接続は育成就労から特定技能への移行を解説した記事で詳しく説明しています。
受入れまでの流れ
特定技能「林業」の受入れは、協議会への加入を済ませてから在留資格の申請を行う流れになります。大まかな手順は次のとおりです。
- 協議会の加入要件(認定事業主等)を満たしているか確認し、林業特定技能・育成就労協議会に加入する
- 林業技能測定試験と日本語試験の合格者、または林業職種の技能実習2号修了者を採用し、特定技能雇用契約を結ぶ
- 1号特定技能外国人支援計画を作成する(登録支援機関への委託も可)
- 海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請、国内在留者の場合は在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局に行う
- 就労開始後は支援計画に沿った支援と、安全な伐木作業方法などの指導・教育を行う
試験に合格しても、在留資格の許可や査証の発給が保証されるわけではありません。申請書類や協議会の構成員であることの証明書など、提出物は林業分野の運用要領で確認してください。
まとめ|特定技能「林業」は1号で受入れが可能
林業は2024年3月から特定技能1号の対象分野で、育林・素材生産等の業務に外国人材を直接雇用で受け入れられます。特定技能2号の対象ではないため、在留は通算5年が上限です(2026年10月時点)。
受け入れる企業は、林業技能測定試験と日本語試験の合格者(または林業職種の技能実習2号修了者)を採用し、在留資格の申請前に林業特定技能・育成就労協議会へ加入する必要があります。協議会の加入要件や運用は改正されることがあるため、申請前に林野庁と出入国在留管理庁の最新資料を確認してください。
林業分野に対応する登録支援機関の情報は林業の登録支援機関9社を比較【特定技能】で整理しています。全国の候補は登録支援機関の比較(全国)でも確認できます。
