特定技能「自動車運送業」とは?対象業務・要件・受け入れ手順【2026年版】
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特定技能「自動車運送業」は、トラック・タクシー・バスの運転者として外国人を受け入れるための分野で、2024年3月に特定技能1号の受入れ対象分野に追加されました。以前は「運送業は特定技能の対象外」と説明されることがありましたが、2026年10月時点では、評価試験・日本語試験に合格し、日本の運転免許を取得した外国人を運転者として雇用できます。
本記事では、出入国在留管理庁と国土交通省の公表資料をもとに、業務区分、外国人本人の要件、運転免許の取得と新任運転者研修、受入れ企業の条件、受け入れまでの流れを順に整理します。支援を外部に委託する場合は登録支援機関の選び方もあわせて確認してください。
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目次
特定技能「自動車運送業」とは?2024年3月に追加された分野
特定技能「自動車運送業」は、事業用自動車(トラック・タクシー・バス)の運転と、それに付随する業務に外国人が従事するための特定技能1号の分野です。2024年3月29日の閣議決定で受入れ対象分野に加わり、所管は国土交通省です。
特定技能の受入れ対象分野は、2026年10月時点で特定技能1号が19分野、特定技能2号が11分野です。1号の19分野は、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環で、このうち物流倉庫と資源循環は準備が整い次第運用を開始する予定とされています(出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新))。
自動車運送業分野は特定技能1号のみが対象で、特定技能2号での受入れはできません(法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-自動車運送業分野の基準について-」)。1号の在留期間は通算で上限5年のため、長期の雇用を考える場合は、在留期限の管理や将来の選択肢を早めに整理しておく必要があります。
在留者数と受入れ見込数
自動車運送業分野の特定技能1号在留外国人数は、2026年6月末現在(速報値)で558人です(出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数(令和8年6月末現在)」)。分野が追加されてから日が浅く、他の分野に比べるとまだ少ない人数です。
受入れ見込数は、令和6年度から令和10年度までの5年間で2万2,100人とされています。分野別運用方針では、同じ5年間で28万8,000人程度の人手不足を見込み、生産性向上や国内人材の確保を行ってもなお不足する分を外国人で補うという考え方が示されています(「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」(令和8年1月23日閣議決定))。
対象となる3つの業務区分と従事できる業務
自動車運送業分野の業務区分は「トラック運転者」「タクシー運転者」「バス運転者」の3つで、どの区分で受け入れるかによって試験・日本語・免許の要件が変わります。
| 業務区分 | 従事する業務 | 主な業務の考え方 |
|---|---|---|
| トラック運転者 | 事業用自動車(トラック)の運転、運転に付随する業務全般 | 運行業務(安全な貨物の輸送等)と荷役業務(荷崩れを起こさない貨物の積付け等) |
| タクシー運転者 | 事業用自動車(タクシー)の運転、運転に付随する業務全般 | 運行業務(安全な旅客の輸送等)と接遇業務(乗客対応等) |
| バス運転者 | 事業用自動車(バス)の運転、運転に付随する業務全般 | 運行業務(安全な旅客の輸送等)と接遇業務(乗客対応等) |
出典:出入国在留管理庁「自動車運送業分野」、自動車運送業分野の運用要領
関連業務の扱い
同じ業務に従事する日本人が通常行う関連業務には、付随的に従事できます。運用要領では例として「車両の清掃」「運行前後の準備、片付け」が挙げられています。ただし、関連業務だけに専ら従事させることは認められていません。運転業務を主とした配置計画を立てることが前提です。
業務の遂行にあたっては、道路運送法や貨物自動車運送事業法などの関係法令、安全管理規程や社内規程を守ることも求められています。業務内容が分野に当てはまるか判断に迷う場合は、国土交通省物流・自動車局が問い合わせ先とされています。
外国人本人に求められる要件(評価試験・日本語・運転免許)
外国人本人には、区分ごとの「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」の合格、日本語能力の証明、日本の運転免許の取得が求められ、タクシー・バスではさらに新任運転者研修の修了が必要です。
| 業務区分 | 技能水準 | 日本語能力 | 運転免許 |
|---|---|---|---|
| トラック運転者 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック) | 「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上) | 第一種運転免許 |
| タクシー運転者 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー) | 原則B1相当以上(日本語能力試験N3以上) | 第二種運転免許 |
| バス運転者 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス) | 原則B1相当以上(日本語能力試験N3以上) | 第二種運転免許 |
出典:自動車運送業分野の運用要領 別表、自動車運送業分野の分野別運用方針 別表
評価試験の実施機関と方式
評価試験は一般財団法人日本海事協会が実施しています。2024年12月の国土交通省の発表では、申請者(法人)が希望する会場で行うペーパーテストの「出張方式」と、テストセンターでコンピュータを使う「CBT方式」の2つの方式が示されました(国土交通省 報道発表(令和6年12月4日))。試験日程・会場・受験手続は日本海事協会の特定技能評価試験ポータルで確認してください。
タクシー・バスの日本語要件の例外
タクシー・バスの日本語要件は原則B1相当以上ですが、2026年1月に閣議決定された分野別運用方針では、一定の措置を講じる場合にA2.2相当でも受け入れられる仕組みが設けられています。出入国在留管理庁の資料(令和8年9月29日更新)では「乗合バス・タクシーは、日本語サポーター同乗の場合、A2.2相当で可」「離島・半島の乗合バスは、一定要件下で日本語サポーター不要」と整理されています。
分野別運用方針で受入れ企業に求められている措置は、主に次のとおりです。対象は貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業)を除くタクシー・バスです。
- B1相当以上の日本語能力の修得に向けた日本語学習プランを作成すること
- 自社で雇用し、乗客対応に関する指導を受けた者を、乗客や関係機関との意思疎通を補助する要員として同乗させること
- 離島・半島振興対策実施地域の乗合バスで同乗要員を置かない場合は、地方公共団体の協力内容を記載した文書の受領や、緊急時に連絡・対応できる情報通信環境の整備を行うこと
この例外を使うかどうかで社内の体制づくりが大きく変わります。適用の可否や具体的な運用は、受け入れ前に国土交通省や地方出入国在留管理局へ確認してください。
技能実習2号修了者の扱い
トラック運転者については、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した人は日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト・日本語能力試験N4以上)が免除されます。一方、評価試験と運転免許は必要です。タクシー・バスの日本語要件(N3以上)にはこの免除はありません。
運転免許の取得と新任運転者研修|「特定活動」による準備期間
海外から受け入れる場合、日本の運転免許の取得や新任運転者研修の受講のために、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」で入国し、準備を終えてから特定技能1号へ変更する流れが用意されています。
「特定活動(特定自動車運送業準備)」の在留期間
この特定活動は、運転免許の保有と新任運転者研修の修了を除き、特定技能1号と同じ要件(評価試験・日本語試験の合格、受入れ企業の基準など)を満たす人が対象です。在留期間の上限は次のとおりです。
- トラック運送業:6か月
- タクシー運送業・バス運送業:1年
特定活動で在留した期間は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)には算入されません。在留中は、免許取得や研修のほか、受入れ企業での車両の清掃といった関連作業に従事できます(自動車運送業分野の分野別運用方針)。
なお、すでに「留学」や「家族滞在」などで日本に住んでいる外国人が、必要な日本の運転免許を取得済みの場合(トラック)、または免許取得後に資格外活動許可を得て新任運転者研修を修了した場合(タクシー・バス)は、特定活動を経由せずに特定技能1号へ移行できます(自動車運送業分野の運用要領)。
運転免許の取得(外免切替を含む)
トラックは第一種運転免許が必要で、外国の運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替」による取得も認められています。タクシー・バスは第二種運転免許が必要です。運用要領に整理されている主な受験資格は次のとおりです。
- 外免切替では、外国免許の取得後、その国に通算3か月以上滞在していたことを証明する書類が必要
- 第二種運転免許の受験資格は、21歳以上で、普通免許等を受けていた期間が通算3年以上(海外での運転経歴を含む)
- 特別な教習を修了すると、19歳以上・普通免許等の保有期間が通算1年以上で第二種免許の試験を受けられる
必要書類は国によって異なるため、具体的な手続は各都道府県警察の運転免許センターに確認するよう運用要領で案内されています。
新任運転者研修(タクシー・バス)
タクシー・バスで受け入れる場合、受入れ企業は外国人に新任運転者研修を実施しなければなりません。新任運転者研修は、旅客自動車運送事業運輸規則に定める指導監督・特別な指導を受け、適性診断を受診するものです。研修の修了には、業界団体が定めた効果測定の基準に達する必要があります。特定技能1号への変更申請では、業界団体が作成した研修修了を証する書類を提出します。
受入れ企業(特定技能所属機関)の条件
受入れ企業は、自動車運送事業を営み、運転者の職場環境や安全性に関する認証・認定を受けていることに加え、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員であることが求められます。
分野固有の主な条件
- 道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を営んでいること
- 外国人が働く事業所が、日本標準産業分類の中分類43「道路旅客運送業」または中分類44「道路貨物運送業」を行っていること
- 一般財団法人日本海事協会の「運転者職場環境良好度認証制度」に基づく認証を受けていること。トラック運送業では、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する「安全性優良事業所」を有することでも可
- タクシー・バスでは、受け入れる外国人に新任運転者研修を実施すること
- 在留諸申請の前に自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になり、協議会や国土交通省の調査・指導に協力すること
- 支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合は、協議会の構成員になっている登録支援機関に委託すること
- 雇用形態は直接雇用に限られ、労働者派遣による受入れはできないこと
出典:自動車運送業分野の運用要領、自動車運送業分野の分野別運用方針
協議会への加入手続
協議会への加入申請は、国土交通省のページに掲載されたオンラインの様式で行います。受入れ企業と登録支援機関で様式が分かれており、事務局の審査には1か月程度かかるとされています(国土交通省の自動車運送業分野(特定技能)ページ)。在留諸申請の前に加入が必要なため、採用スケジュールに審査期間を含めておくと安心です。
全分野共通の義務
分野固有の条件のほか、特定技能全体の共通ルールも適用されます。1号特定技能外国人には、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談・苦情対応など10項目の義務的支援を行う必要があり、受入れ企業は出入国在留管理庁へ年1回の定期届出を行います。支援の全部を委託できる登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関です。支援内容の詳細は登録支援機関の義務的支援、届出は特定技能受け入れ後の届出義務で解説しています。
受け入れまでの流れ
受け入れは、自社が受入れ条件を満たしているかの確認と協議会への加入から始め、人材の確保、雇用契約と支援計画の作成、在留資格の申請、免許取得・研修を経て就労開始という順で進みます。
- 自社の要件確認:自動車運送事業の許可等、事業所の産業分類、運転者職場環境良好度認証または安全性優良事業所の有無を確認します。
- 協議会への加入:自動車運送業分野特定技能協議会へ加入を申請します。登録支援機関に委託する場合は、その機関が構成員になっているかも確認します。
- 人材の確保:評価試験と日本語試験の合格者を、国内外で募集・選考します。
- 雇用契約と支援計画:直接雇用の雇用契約を結び、1号特定技能外国人支援計画を作成します。報酬は同等業務の日本人と同等以上にする必要があります。
- 在留資格の申請:海外在住者は「特定活動(特定自動車運送業準備)」で入国し、国内在住で要件を満たす人は特定技能1号への変更を申請します。
- 免許取得・研修:特定活動の期間中に日本の運転免許を取得し、タクシー・バスは新任運転者研修を修了します。
- 特定技能1号への変更と就労開始:特定技能1号へ在留資格を変更し、運転業務を始めます。就労開始後は義務的支援、定期届出、協議会への協力を継続します。
海外から受け入れる場合は、特定活動の期間(トラック6か月、タクシー・バス1年が上限)の中で免許取得と研修を終える必要があります。教習所や研修の日程を事前に確保しておくことが、計画どおりに運転業務へ移るための前提になります。
受け入れ前に確認しておきたい注意点
受け入れ前には、特定技能2号がないこと、育成就労の対象外であること、日本語や免許の要件を満たすまでの期間と費用を、自社の採用計画に織り込んでおくことが大切です。
特定技能2号・育成就労の対象外
自動車運送業分野は特定技能2号の対象ではないため、1号の通算5年が在留の上限になります。また、2027年4月に始まる育成就労制度の対象分野(育成就労産業分野)は特定産業分野から自動車運送業と航空を除いたものとされており、自動車運送業は育成就労の対象外です(出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。未経験者を育成就労で受け入れて特定技能へ移行させる流れは使えないため、評価試験の合格者を採用することが前提になります。
区分によって準備期間が変わる
トラックは第一種免許、タクシー・バスは第二種免許が必要で、タクシー・バスは新任運転者研修も加わります。第二種免許には運転経歴の要件があるため、候補者の母国での免許取得日や運転経歴を早い段階で確認しておくと、採用後に要件を満たせないという事態を避けられます。
日本語でのコミュニケーション体制
運転業務では、点呼、運行指示、事故やトラブル時の連絡、乗客対応など、日本語でのやり取りが日常的に発生します。日本語要件を満たしていても、社内用語や地名、無線・電話でのやり取りに慣れるまでは時間がかかります。A2.2相当の例外を使う場合は、同乗要員の確保や日本語学習プランの作成が受入れ条件になるため、その人員と費用も見込んでおく必要があります。
労働時間の管理
自動車運送業では、運転者の労働時間に関するルールが日本人と同じく適用されます。特定技能外国人も報酬・労働時間・休日などは日本人と同等以上の待遇が求められるため、運行計画の段階から法令に沿った勤務設計を行ってください。費用面の目安は特定技能外国人の受け入れ費用も参考になります。
まとめ|特定技能「自動車運送業」の受け入れ準備
特定技能「自動車運送業」は2024年3月に追加された分野で、2026年10月時点ではトラック・タクシー・バスの運転者として外国人を受け入れることができます。
- 業務区分はトラック運転者・タクシー運転者・バス運転者の3つ
- 本人の要件は、評価試験の合格、日本語能力(トラックはA2.2相当以上、タクシー・バスは原則B1相当以上)、日本の運転免許(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種)
- タクシー・バスは新任運転者研修の修了も必要
- 海外からの受入れでは「特定活動」で入国し、トラックは6か月、タクシー・バスは1年を上限に免許取得や研修を行える
- 受入れ企業は、運転者職場環境良好度認証(トラックは安全性優良事業所でも可)と協議会への加入が必要
- 特定技能2号と育成就労の対象外
制度の細部は運用方針や運用要領の改正で変わることがあります。受け入れを検討する際は、出入国在留管理庁の自動車運送業分野ページと国土交通省の自動車運送業分野(特定技能)ページで最新の内容を確認してください。
自動車運送業分野の支援を委託する登録支援機関を検討する際は、特定技能「自動車運送業」の登録支援機関4社を比較で各機関の登録情報を確認できます。
特定技能1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違い、制度全体の前提は特定技能の制度概要もあわせてご覧ください。
