特定技能「鉄道」とは?6つの業務区分・試験・受け入れ手順【2026年版】

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特定技能「鉄道」は、鉄道の保線・電気設備・車両の整備や製造、駅や列車の運輸業務、駅・車両の清掃に外国人を受け入れるための分野で、2024年3月に特定技能1号の受入れ対象分野に追加されました。以前は「鉄道は特定技能の対象外」と説明されることがありましたが、2026年10月時点では、評価試験と日本語試験に合格した外国人を6つの業務区分で受け入れられます。

本記事では、出入国在留管理庁と国土交通省の公表資料をもとに、業務区分、外国人本人の要件、技能実習からの移行、受入れ企業の条件と協議会、受け入れまでの流れを整理します。支援を外部に委託する場合は登録支援機関の選び方もあわせて確認してください。

監修者

武藤 拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

2018年より外国人人材分野で、技能実習・特定技能で600名超の採用から定着まで支援。2025年は商工会議所セミナーに4回登壇し、制度と実務の両面から外国人採用・定着を支援する専門家です。

資格
申請等取次者、外国人雇用管理主任者

特定技能「鉄道」とは?2024年3月に追加された分野

特定技能「鉄道」は、鉄道・軌道の施設や車両の整備、車両の製造、運輸係員の業務、駅・車両の清掃に外国人が従事するための特定技能1号の分野です。2024年3月29日の閣議決定で受入れ対象分野に加わり、所管は国土交通省(鉄道局)です。

特定技能の受入れ対象分野は、2026年10月時点で特定技能1号が19分野、特定技能2号が11分野です。1号の19分野は、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環で、このうち物流倉庫と資源循環は準備が整い次第運用を開始する予定とされています(出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新))。

鉄道分野は特定技能1号のみが対象で、特定技能2号での受入れはできません(法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-鉄道分野の基準について-」(令和8年8月28日一部改正))。1号の在留期間は通算で上限5年です。

在留者数と受入れ見込数

鉄道分野の特定技能1号在留外国人数は、2026年6月末現在(速報値)で64人です(出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数(令和8年6月末現在)」)。受け入れは始まったばかりの段階といえます。出入国在留管理庁の分野ページでは、受入れ見込数を2,900人(令和11年3月末までの受入れ上限)としています(出入国在留管理庁「鉄道分野」)。

鉄道分野の6つの業務区分と従事できる業務

鉄道分野の業務区分は「軌道整備」「電気設備整備」「車両整備」「車両製造」「運輸係員」「駅・車両清掃」の6つです。当初の5区分に、2026年1月23日の閣議決定で駅・車両清掃が加わりました(国土交通省の鉄道分野ページ)。

業務区分主な業務
軌道整備軌道検測作業、レール交換作業、まくらぎ交換作業、バラストを取り扱う作業、保安設備を取り扱う作業など、軌道等の新設・改良・修繕に係る作業・検査業務
電気設備整備電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、踏切保安設備などの新設・改良・修繕に係る作業・検査業務
車両整備列車検査、定期検査、臨時検査、構内入換、駅派出対応、改造工事、在庫・予備品管理、工場設備取扱い、定期・臨時清掃業務など
車両製造素材加工、部品組立て、構体組立て、塗装、溶接、ぎ装、台車枠製造、台車組立て、電子機器組立て、電気機器組立て、試験・検査、部品検収・配膳業務など
運輸係員ポイント操作、入換え合図、駅設備管理・取扱業務、旅客案内・貨物取扱業務、運行管理業務、車掌業務、運転士業務など
駅・車両清掃車両内部清掃(折り返し清掃を含む)、車両外部清掃、コンコース・駅舎清掃、ホーム清掃(駅務機器、エレベーター、エスカレーター清掃を含む)、休憩室清掃など

出典:鉄道分野の運用要領

関連業務と法令の遵守

同じ業務に従事する日本人が通常行う関連業務(事務作業、作業場所の整理整頓や清掃など)には付随的に従事できますが、関連業務だけに専ら従事させることは認められていません。また、業務の遂行にあたっては、鉄道営業法などの関係法令や安全管理規程、業務規程、社内規程を守ることが求められています。

運輸係員の区分には車掌業務や運転士業務も含まれますが、実際の配置では各社の安全管理規程や関係法令に沿った教育・資格管理が前提になります。従事させようとする業務が鉄道分野に当たるか判断に迷う場合は、国土交通省鉄道局技術企画課が相談窓口とされています。

外国人本人に求められる要件(評価試験・日本語)

外国人本人には、業務区分ごとの「鉄道分野特定技能1号評価試験」の合格と、日本語能力の証明が求められます。日本語要件は運輸係員だけが高く設定されています。

業務区分技能水準日本語能力
軌道整備鉄道分野特定技能1号評価試験(軌道整備)A2.2相当以上(JFT-Basic A2.2相当以上または日本語能力試験N4以上)
電気設備整備鉄道分野特定技能1号評価試験(電気設備整備)A2.2相当以上(同上)
車両整備鉄道分野特定技能1号評価試験(車両整備)A2.2相当以上(同上)
車両製造鉄道分野特定技能1号評価試験(車両製造)、または技能検定3級(機械加工、仕上げ、電子機器組立て、電気機器組立て、塗装)A2.2相当以上(同上)
運輸係員鉄道分野特定技能1号評価試験(運輸係員)B1相当以上(日本語能力試験N3以上。CEFRのB1相当以上と判定された場合に限る)
駅・車両清掃鉄道分野特定技能1号評価試験(駅・車両清掃)A2.2相当以上(同上)

出典:鉄道分野の運用要領 別表、出入国在留管理庁「鉄道分野」

評価試験の実施機関

国土交通省のページでは、評価試験の実施機関が次のとおり案内されています(2026年10月時点)。

試験の実施要領は、軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造が令和7年2月、運輸係員が令和7年3月付けで国土交通省のページに掲載されています。新しく追加された駅・車両清掃の試験については、2026年10月時点で国土交通省のページに実施機関の記載が見当たりません。試験日程・会場・受験資格は、各実施機関の最新の案内を確認してください。出入国在留管理庁の資料では、2026年6月末時点の鉄道分野の技能試験の実施国は「国内」とされています(出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

技能実習2号からの移行と試験免除

鉄道分野に関連する職種・作業の技能実習2号を良好に修了した人は、技能試験と日本語試験の両方が免除され、特定技能1号へ移行できます。運用要領では、この免除は令和9年4月1日以降も当分の間続くとされています。

業務区分試験免除の対象となる技能実習2号(職種:作業)
軌道整備鉄道施設保守整備:軌道保守整備
車両整備鉄道車両整備:走行装置検修・解ぎ装、空気装置検修・解ぎ装
車両製造機械加工、金属プレス加工、鉄工、仕上げ、電子機器組立て、電気機器組立て、塗装、溶接の各職種のうち、運用要領別表に掲げる作業
電気設備整備・運輸係員・駅・車両清掃該当する職種・作業の記載なし

出典:鉄道分野の運用要領 別表

職種が関連しない場合の日本語試験の扱い

技能実習2号を良好に修了していれば、修了した職種・作業が鉄道分野と関連しない場合でも、日本語能力(A2.2相当)は証明されたものとして扱われます。この場合、技能は鉄道分野特定技能1号評価試験などで証明する必要があります。ただし、運輸係員の区分は日本語能力試験N3以上の合格が別途必要です。

育成就労制度との関係

2027年4月1日に技能実習に代わる育成就労制度が始まります。鉄道分野は育成就労の対象分野にも含まれており、国土交通省は「鉄道分野育成就労協議会」の案内や、特定技能と育成就労を通した「育成・キャリア形成プログラム」(令和8年6月23日)を公表しています(国土交通省の鉄道分野ページ)。育成就労からの移行を見込む場合は、こうした資料も確認しておくとよいでしょう。

受入れ企業の条件と鉄道分野特定技能協議会

受入れ企業は、鉄道事業者・軌道経営者、または鉄道・軌道の施設や車両の整備、車両の製造、駅・車両の清掃の事業を営む者であり、国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。

分野固有の主な条件

  • 鉄道事業法による鉄道事業者、軌道法による軌道経営者、その他鉄道事業・軌道事業に使う施設や車両の整備、車両の製造、駅・車両の清掃に係る事業を営む者であること
  • 国土交通省が設置する協議会の構成員になり、協議会で協議が調った措置を講じること
  • 協議会や国土交通省(またはその委託を受けた者)の調査・指導に協力すること
  • 支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合は、上記の条件を満たす(協議会の構成員である)登録支援機関に委託すること
  • 労働者派遣による受入れはできないこと(直接雇用)

出典:鉄道分野の運用要領

運用要領では、受入れ企業は国土交通省鉄道局のホームページに示す鉄軌道事業者一覧に載っている者か、各業務区分の対象業務を行う者でなければならないとされています。鉄道会社だけでなく、保線・電気工事・車両整備・車両メーカー・清掃などの関連事業者も受入れ企業になり得ます。

協議会への加入手続

協議会には、外国人の在留諸申請の前に加入する必要があります。国土交通省のページによると、加入申請は様式(受入れ企業は様式第1号、登録支援機関は様式第2号)とチェックリストを電子メールで提出する方法で、会費は不要です。申請は特定技能外国人の受入れが具体的になってから行うよう案内されており、将来の採用予定だけで加入申請することは控えるよう求められています(国土交通省の鉄道分野ページ)。

全分野共通の義務

分野固有の条件のほか、1号特定技能外国人への10項目の義務的支援、出入国在留管理庁への年1回の定期届出といった共通ルールも適用されます。支援の全部を委託できる登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関です。詳しくは登録支援機関の義務的支援と特定技能受け入れ後の届出義務で解説しています。

受け入れまでの流れ

受け入れは、自社が対象事業者に当たるかと配置予定の業務区分を確認し、人材の確保と協議会への加入、雇用契約と支援計画の作成、在留資格の申請という順で進みます。

  1. 対象事業者・業務区分の確認:自社の事業が受入れ企業の条件に当たるか、配置する業務がどの業務区分に該当するかを確認します。判断に迷う場合は国土交通省鉄道局に相談します。
  2. 人材の確保:評価試験・日本語試験の合格者、または試験免除の対象となる技能実習2号修了者を募集・選考します。運輸係員はN3以上の合格が必要です。
  3. 協議会への加入:受入れが具体的になった段階で鉄道分野特定技能協議会へ加入を申請し、構成員であることの証明書を受け取ります。委託する登録支援機関も構成員であるか確認します。
  4. 雇用契約と支援計画:直接雇用の雇用契約を結び、1号特定技能外国人支援計画を作成します。報酬は同等業務の日本人と同等以上にする必要があります。
  5. 在留資格の申請:海外在住者は在留資格認定証明書交付申請、国内在住者は在留資格変更許可申請を行います。協議会の構成員であることの証明書や分野別の誓約書なども提出書類に含まれます。
  6. 就労開始と継続的な対応:入国・就労開始後は義務的支援を実施し、定期届出や協議会への協力を続けます。

受け入れ前に確認しておきたい注意点

受け入れ前には、特定技能2号がなく1号の通算5年が上限であること、区分によって試験の実施状況や日本語要件が異なること、安全に関わる業務での教育体制を整えることを確認しておくことが大切です。

在留期間の上限と長期雇用

鉄道分野は特定技能2号の対象ではないため、1号の通算5年を超えて同じ在留資格で働き続けることはできません。長く働いてもらいたい場合は、在留期限の管理と並行して、将来の在留資格の選択肢を本人と早めに話し合っておく必要があります。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで整理しています。

試験の実施状況を確認してから募集する

区分ごとに試験の実施機関が異なり、実施頻度や会場もそれぞれです。2026年6月末時点では技能試験の実施国が国内とされているため、海外から直接採用する場合は、候補者がどこで受験できるかを先に確認しておくと計画が立てやすくなります。駅・車両清掃のように追加されて間もない区分は、試験の案内が出ているかどうかから確認が必要です。

在籍型出向は鉄道分野で認められている

出入国在留管理庁の資料では、特定技能制度における在籍型出向は航空分野と鉄道分野のみ認められるとされています(出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。グループ会社間での出向を想定する場合は、要件を運用要領で確認したうえで計画してください。

安全教育と日本語での意思疎通

鉄道の現場では、作業指示、列車見張り、無線連絡、旅客案内など、安全に直結するやり取りが日本語で行われます。日本語要件を満たしていても、専門用語や社内の合図に慣れるまでの教育期間を確保し、作業手順書の多言語化や指導担当者の配置を検討しておくと、定着とトラブル防止の両面で効果があります。

まとめ|特定技能「鉄道」の受け入れ準備

特定技能「鉄道」は2024年3月に追加された分野で、2026年10月時点では6つの業務区分で外国人を受け入れることができます。

  • 業務区分は軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員・駅・車両清掃の6つ
  • 本人の要件は区分ごとの評価試験の合格と日本語能力(運輸係員はN3以上、その他はA2.2相当以上)
  • 関連する技能実習2号の修了者は、技能試験と日本語試験が免除される
  • 受入れ企業は鉄道事業者・軌道経営者や関連事業者で、在留諸申請の前に鉄道分野特定技能協議会へ加入する
  • 特定技能2号の対象外で、1号の通算5年が上限

制度の細部は運用方針や運用要領の改正で変わることがあります。受け入れを検討する際は、出入国在留管理庁の鉄道分野ページと国土交通省の鉄道分野ページで最新の内容を確認してください。

鉄道分野の支援を委託する登録支援機関を検討する際は、鉄道分野の登録支援機関8社を比較【特定技能】で各機関の登録情報を確認できます。

制度全体の前提は特定技能の制度概要もあわせてご覧ください。