特定技能外国人の社会保険・税金|企業が押さえる実務
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特定技能外国人を受け入れる企業には、社会保険への加入義務があります。対象は健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の4つで、加入基準は日本人従業員と同じです。
所得税と住民税も、給与からの源泉徴収・特別徴収というかたちで納付が必要です。手続きが漏れると、追徴金の請求や在留資格の更新不許可につながるおそれがあります。
本稿では、4つの保険への加入条件、税金の実務、年末調整の注意点、未加入時のリスクまで、担当者が確認すべき順に整理しました。
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目次
社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)への加入義務
特定技能外国人は、日本人従業員と同じ基準で社会保険の加入対象になります。対象となるのは健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の4つです。40歳以上で健康保険に加入している場合は、介護保険料もあわせて徴収されます。
出入国在留管理庁の特定技能制度に関するQ&Aでは、受入れ機関の基準として社会保険に関する法令の遵守を明記しています。社会保険が未加入の状態では、特定技能外国人を受け入れる要件そのものを満たせません。
受入れ機関全体に求められる基準は、特定技能外国人の受入れ要件で整理しています。
各保険の加入条件・保険料負担・手続きの流れ(届出期限含む)
4つの保険は、それぞれ加入条件と保険料の負担割合が異なります。まずは条件と負担の全体像を押さえましょう。
| 保険の種類 | 加入条件 | 保険料負担 | 届出先 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | フルタイムまたは所定労働時間が4分の3以上 | 労使折半 | 日本年金機構 |
| 厚生年金保険 | 同上 | 労使折半 | 日本年金機構 |
| 雇用保険 | 週20時間以上・31日以上の雇用見込み | 労使双方(負担率は異なる) | ハローワーク |
| 労災保険 | 雇用関係があること | 事業主が全額負担 | 労働基準監督署 |
健康保険・厚生年金保険の資格取得届は、入社日から5日以内に日本年金機構(または事務センター)へ提出します。雇用保険は、雇用した月の翌月10日までにハローワークへ届け出ます。
保険料を含めた受け入れコスト全体の相場は、特定技能外国人の受け入れ費用で確認できます。
外国人特有の手続き(ローマ字氏名届)
外国人従業員に特有の手続きとして「ローマ字氏名届」があります。マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合、資格取得届とあわせて提出が必要です。
この届出は、在留カードやパスポートに記載されたローマ字氏名と、年金記録上の氏名を一致させる目的で行います。提出が漏れると、年金記録の照会や帰国後の一時脱退金の請求手続きに支障が出ることがあります。
手続きに備え、在留カードの写しを社内で保管しておくと安心です。
税金(所得税の源泉徴収・住民税)
特定技能外国人の税金は、所得税・住民税とも日本人従業員と同じ計算方法で課税されます。特定技能1号は日本国内に住所を持つ「居住者」として扱われるため、非居住者向けの軽減措置は原則として適用されません。
所得税は毎月の給与から源泉徴収し、年末調整で1年分の税額を精算します。住民税は前年の所得をもとに算出され、給与からの特別徴収というかたちで毎月納付します。
給与所得が2,000万円を超える場合など一定のケースでは、年末調整の対象外となり確定申告が必要です。詳しい要件は国税庁 給与所得者で確定申告が必要な人で確認できます。
年末調整の流れと必要書類(扶養控除の海外親族書類含む)
年末調整では、扶養控除等申告書や保険料控除申告書などを、日本人従業員と同じ書式で提出してもらいます。特定技能外国人ならではの注意点は、海外に住む扶養親族がいる場合の書類です。
- 親族関係書類(続柄が確認できるもの)
- 38万円以上の送金実績を証明する送金証明書類
- 扶養親族の年間所得が48万円以下であることを示す書類
外国語で作成された書類には、日本語訳を添付してもらいます。在留カードの有効期限もあわせて確認しておくと、手続きの手戻りを防げます。
未加入・未納のリスク(追徴金・在留資格更新不許可)
社会保険や税金の手続きを怠ると、企業には2つのリスクが生じます。1つ目は、未納分をさかのぼって徴収される追徴金です。
2つ目は、在留資格の更新審査への影響です。更新申請では、社会保険料や税金の納付状況が確認されます。過去に未納や滞納があると、更新が不許可になる可能性があります。
特定技能制度そのものの基準や在留資格の仕組みは、特定技能とはで整理しています。
一時脱退金との関係(帰国時の年金請求)
厚生年金保険に6か月以上加入していた特定技能外国人が帰国する場合、日本を出国してから2年以内に「一時脱退金」を請求できます。請求するのは外国人本人で、企業が代わりに支払う制度ではありません。
退職・帰国が決まった段階で、制度の概要と申請方法を案内しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。金額の目安や必要書類など詳しい内容は、特定技能外国人の一時脱退金で解説しています。
よくある質問
特定技能外国人も社会保険に加入させる義務がありますか?
はい。健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険は、要件を満たす場合はすべて加入させる義務があります。受入れ機関の基準にも、社会保険に関する法令の遵守が明記されています。
支援機関を探す段階では登録支援機関のおすすめランキングも役立ちます。
依頼先を検討する際は登録支援機関の選び方のチェックポイントも参考になります。
社会保険や税金が未納の場合、どのようなリスクがありますか?
未納分の追徴金に加え、在留資格の更新審査が不許可になるリスクがあります。更新申請では、社会保険料や税金の納付状況が確認されます。
ローマ字氏名届はどのような場合に必要ですか?
マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合に必要です。資格取得届とあわせて日本年金機構へ提出します。
特定技能外国人の年末調整で気をつける点はありますか?
海外に住む扶養親族がいる場合、親族関係書類と送金証明書類の提出が必要です。書類が外国語のときは日本語訳を添付します。
帰国する特定技能外国人の年金保険料はどうなりますか?
厚生年金保険に6か月以上加入していれば、出国後2年以内に本人が一時脱退金を請求できます。企業が支給する制度ではありません。
まとめ
特定技能外国人の社会保険と税金は、日本人従業員とほぼ同じルールで運用します。ただし、届出期限や、マイナンバーと基礎年金番号の紐付けなど、外国人材ならではの実務で手が止まりやすいポイントがあります。
担当者を1人に固定せず、入社時・年末調整・退職時という3つのタイミングでチェック項目を共有しておくと安心です。手続き漏れによる追徴金や在留資格更新への影響も防ぎやすくなります。制度の細部は見直されることがあるため、出入国在留管理庁や日本年金機構の公式情報を定期的に確認する運用もあわせて欠かせません。
