【2026年版】特定技能ビザとは?1号・2号の違い・取得要件・申請手続きを解説

公開日

最終更新日

特定技能ビザとは、人手不足が深刻な17分野で、一定の技能と日本語力を持つ外国人材を受け入れるための在留資格(特定技能1号・2号)のことです。人事・総務担当者が押さえるべきは、在留資格の種類ごとの上限、取得要件、申請の流れ、必要書類、企業側の義務的支援です。いずれかが不足すると、在留資格の許可・更新が下りないケースがあります。

本記事では、特定技能ビザの全体像から申請実務、登録支援機関の役割、よくある失敗例まで、受入れ企業の視点で整理します。制度の背景や対象分野の詳細は特定技能制度の基本もあわせてご確認ください。

監修者

武藤 拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

2018年より外国人人材分野で、技能実習・特定技能で600名超の採用から定着まで支援。2025年は商工会議所セミナーに4回登壇し、制度と実務の両面から外国人採用・定着を支援する専門家です。

資格
申請等取次者、外国人雇用管理主任者

特定技能ビザとは

「特定技能ビザ」は通称で、正式名称は在留資格「特定技能1号」または「特定技能2号」です。2019年4月に創設され、技能実習のように母国への技術移転を主目的とするのではなく、即戦力としての就労を認める制度として位置づけられています。

受入れは、介護・建設・外食・製造など人手不足が顕著な分野に限定されています。外国人本人は分野別の技能評価試験と日本語試験(または技能実習2号の良好な修了)をクリアし、受入れ企業と雇用契約を結ぶ必要があります。企業側は、労働条件の適正化に加え、入国後の生活支援など10項目の義務的支援を実施しなければなりません。

特定技能ビザは「ビザ(査証)」と「在留資格」がセットで成立します。企業が出入国在留管理庁に在留資格認定証明書(COE)の交付を申請し、外国人本人が居住国の日本大使館・領事館で査証を取得して入国する、という流れが一般的です。すでに日本に在留している外国人であれば、在留資格変更申請で切り替えることも可能です。

特定技能1号と2号の違い

特定技能ビザには1号と2号があり、在留期間の上限、家族帯同、対象分野が大きく異なります。採用計画を立てる段階で、どちらを目指すかを整理しておくことが重要です。

項目特定技能1号特定技能2号
対象分野17分野介護を除く13分野(2023年拡大)
在留期間通算最大5年(4か月・6か月・1年単位で更新)更新回数の上限なし
家族帯同不可配偶者・子の帯同可
技能要件分野別1号技能評価試験の合格分野別2号技能評価試験の合格
永住申請原則不可(1号のみでは要件を満たさない)在留年数等の要件を満たせば可能

特定技能1号のポイント

特定技能1号は、各分野の基本的な業務を担う外国人向けの在留資格です。2026年現在、対象は介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、リネンサプライの17分野です。

在留期間は通算5年が上限のため、5年を超えて雇用を続けたい場合は、2号への移行、他の在留資格への変更、または帰国のいずれかが必要になります。2023年以降に追加された自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は、現時点では2号の対象外です。

特定技能2号のポイント

特定技能2号は、1号より高度な技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。2023年の制度改正により、建設・造船・舶用工業に加え、ビルクリーニング、工業製品製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業など、介護を除く13分野で2号が利用できるようになりました。

2号では在留期間の更新回数に上限がなく、配偶者・子の家族帯同も認められます。長期雇用や定着を見据える企業にとって、1号から2号への移行は重要な選択肢です。2号試験は分野によって実施国・地域が限られている場合があり、最新の試験日程は出入国在留管理庁や試験実施団体の公表情報を確認してください。

特定技能ビザの取得要件

特定技能ビザの取得要件は、外国人本人側の要件と、受入れ企業側の要件に分かれます。双方を満たさないと、在留資格の許可は下りません。

外国人本人に求められる要件

  • 技能要件:分野別の特定技能評価試験(1号または2号)に合格していること。技能実習2号を良好に修了した場合は、1号の技能試験・日本語試験が免除されるケースがあります
  • 日本語要件(1号の場合):日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格していること。2号には日本語試験の要件はありません
  • 健康要件:就労に支障のない健康状態であること
  • 18歳以上であること(技能実習修了者を除く場合も含め、原則18歳以上)

受入れ企業に求められる要件

  • 特定技能所属機関としての届出・要件を満たしていること
  • 日本人労働者と同等以上の報酬・待遇を確保していること
  • 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)に加入させること
  • 10項目の義務的支援を自社または登録支援機関を通じて実施できること
  • 過去5年以内に不正受入れ等の法令違反がないこと

技能実習から特定技能1号へ移行するルートは、すでに日本で就労経験のある人材を確保しやすい方法として活用されています。試験免除の条件や手続きの詳細は、分野ごとに異なるため、申請前に出入国在留管理庁のガイドラインで確認してください。

特定技能ビザの申請の流れ

特定技能ビザの取得は、大きく分けて「人材確保→契約・支援体制の整備→在留資格の申請→入国・就労開始」の4段階で進めます。

  1. 試験合格者の確保:技能評価試験・日本語試験に合格した外国人を採用する。技能実習修了者であれば試験免除の可能性を確認する
  2. 雇用契約の締結:特定技能雇用契約書・雇用条件書を作成し、母国語併記のうえで本人に説明して締結する
  3. 支援計画の策定:10項目の義務的支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決め、支援計画書を作成する
  4. 在留資格認定証明書(COE)の申請:受入れ企業が管轄の出入国在留管理庁に必要書類を提出する。審査期間は通常1〜3か月程度とされていますが、案件によって前後します
  5. 査証(ビザ)申請・入国:COEが交付されたら、外国人本人が居住国の日本大使館・領事館で査証を申請し、入国する
  6. 在留カードの交付・就労開始:入国後、在留カードを受け取り、支援計画に沿ったオリエンテーション等を実施したうえで就労を開始する

すでに日本に在留する外国人(技能実習、留学、他の在留資格など)の場合は、COEの取得を経ずに在留資格変更申請で特定技能1号・2号へ切り替える方法もあります。在留資格変更の場合も、雇用契約書・支援計画書などの書類提出が必要です。

申請に必要な書類

在留資格認定証明書(COE)の交付申請で、受入れ企業が提出する主な書類は次のとおりです。分野や個別事情によって追加書類が求められる場合があります。

書類名内容・ポイント
在留資格認定証明書交付申請書出入国在留管理庁所定の様式。申請人(外国人)の基本情報、在留資格の種類等を記載
特定技能雇用契約書の写し参考様式第1-5号に沿った契約書。就業内容・賃金・契約期間等を記載
雇用条件書の写し参考様式第1-6号。本人が理解できる言語で作成
支援計画書参考様式第1-17号。10項目の義務的支援の実施方法・担当者を記載
登録支援機関との支援委託契約書支援を委託する場合に添付。委託内容・期間・費用等を明記
技能試験・日本語試験の合格証明1号の場合。技能実習修了者は修了証明書等で代替
受入れ機関の概要書法人の基本情報、過去の外国人受入れ実績等
特定技能所属機関の届出に関する書類初回受入れ時等に必要

書類の不備は審査の遅延や不許可の原因になりやすい項目です。特に雇用契約書の賃金記載、支援計画書の支援担当者名、登録支援機関との委託契約の内容整合は、提出前にダブルチェックしておきましょう。

受入れ企業の義務

特定技能ビザで外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、法令上の義務が複数課せられます。義務を怠ると、在留資格の更新不可、新規受入れ停止、改善命令などの行政処分につながる可能性があります。

10項目の義務的支援

特定技能1号の外国人に対して、受入れ企業は次の10項目の支援を行う義務があります(2号は9項目)。

  1. 事前ガイダンス(母国等での説明)
  2. 出入国空港等での送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続き等への同行
  6. 日本語学習の機会提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(受入れ機関の都合による離職時)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

これらの支援は、自社の支援担当者が実施するか、法務省・出入国在留管理庁に登録された登録支援機関に委託するかを選べます。初めて受入れる企業や、人事・総務のリソースが限られている場合は、委託が現実的な選択肢になることが多いです。

労働条件・コンプライアンス

  • 同等の業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬を支払う
  • 労働基準法・労働安全衛生法を遵守する(残業時間の管理、安全配慮等)
  • 社会保険への加入を確実に行う
  • 保証金・違約金の徴収を行わない
  • 雇用契約の変更・終了時には、出入国在留管理庁への随時届出を行う
  • 年1回の定期届出を期限内に提出する

登録支援機関の役割

登録支援機関は、特定技能所属機関(受入れ企業)から委託を受け、義務的支援の全部または一部を代行する法人・個人です。登録支援機関に委託しても、雇用関係や法令遵守の最終責任は受入れ企業に残ります。

登録支援機関が担う主な業務は、入国時の送迎、住居の確保支援、生活オリエンテーション、役所・銀行等への同行、日本語学習の機会提供、定期面談の実施などです。委託契約書には、支援内容・期間・費用・担当者を明記し、支援計画書と内容が一致している必要があります。

登録支援機関の選定では、対応分野・対応エリア・支援実績・費用相場・報告体制を確認することが重要です。支援機関を探す段階では登録支援機関のおすすめランキングも参考になります。依頼先を絞り込む際は登録支援機関の選び方のチェックポイントもあわせて確認してください。

よくある失敗と対策

特定技能ビザの申請・運用で、受入れ企業側が陥りやすい失敗パターンと、その対策を整理します。

書類不備による審査遅延・不許可

雇用契約書の賃金欄の記載漏れ、支援計画書の支援担当者と委託契約の不一致、試験合格証明の有効期限切れなどが、審査で指摘される典型例です。参考様式の項目を一つずつ確認し、提出前に第三者(登録支援機関や行政書士等)にチェックしてもらうとリスクを下げられます。

支援体制の未整備

入国後に住居が確保できていない、生活オリエンテーションが実施されていない、定期面談の記録が残っていない——といった状態は、届出義務違反や支援不十分とみなされるおそれがあります。入国前に支援計画書の内容どおりに体制を整え、面談記録を残す運用を開始してから受入れを始めましょう。

賃金・労働条件の不適正

基本給のみを契約書に記載し、残業代や手当の計算方法が不明確、日本人従業員より低い賃金設定——などは、在留資格の更新時に問題になることがあります。同等業務の日本人労働者の賃金体系と照合し、契約書・給与明細・実支払額が一致しているかを確認してください。

届出の漏れ

雇用契約の変更、支援担当者の変更、登録支援機関の変更などが生じた際、14日以内の随時届出が必要です。また、年1回の定期届出も期限を守って提出しなければなりません。届出漏れは、新規受入れ停止などの処分対象となり得ます。変更が生じたら速やかに届出担当者へ連絡するフローを社内に定めておきましょう。

1号5年上限の見落とし

特定技能1号は在留期間が通算5年が上限です。5年後に2号へ移行できない分野(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業、介護等)や、2号試験に合格できない場合は、帰国または他の在留資格への変更が必要になります。採用計画を立てる段階で、在留期間の上限と移行可能性をあらかじめ確認しておくことが重要です。

よくある質問

Q. 特定技能ビザと特定技能在留資格は同じものですか?

A. はい、同じ制度を指します。「特定技能ビザ」は在留資格「特定技能1号・2号」を取得するために、在留資格認定証明書(COE)と査証(ビザ)を経て入国する流れを指す通称です。

Q. 特定技能1号と2号、どちらから始めるべきですか?

A. 多くの外国人は1号から就労を開始します。2号は1号より高度な技能試験の合格が必要で、在留期間の上限がなく家族帯同も可能なため、長期雇用を見据える場合の選択肢です。採用時点で2号試験合格者を確保できるケースは限られます。

Q. 技能実習修了者は試験なしで特定技能1号に移行できますか?

A. 技能実習2号を良好に修了し、同一分野・類似業務への移行など所定の要件を満たせば、1号の技能試験・日本語試験が免除される場合があります。ただし、分野や修了状況によって条件が異なるため、個別に確認が必要です。

Q. 登録支援機関に委託すれば、企業の義務はすべて免除されますか?

A. いいえ。義務的支援の実施を委託できますが、雇用管理、労働条件の適正、届出義務など受入れ企業の責任は残ります。委託先の支援内容が計画書どおり実施されているか、企業側でも確認する必要があります。

Q. 在留資格の審査にはどのくらい時間がかかりますか?

A. COE交付申請の標準的な処理期間は1〜3か月程度とされていますが、書類不備や申請集中時期には延びることがあります。入国・就労開始の希望時期から逆算して、早めに申請準備を始めることをおすすめします。

Q. 特定技能2号はすべての分野で取得できますか?

A. いいえ。2026年現在、2号の対象は介護を除く13分野です。2023年以降に1号が新設された自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は、現時点では2号の対象外です。介護分野も2号は創設されていません。

まとめ

特定技能ビザ(在留資格「特定技能1号・2号」)は、人手不足分野で即戦力の外国人材を受け入れるための制度です。1号は17分野・通算5年・家族帯同不可、2号は介護を除く13分野・更新上限なし・家族帯同可——この違いを理解したうえで、採用計画を設計することが出発点になります。

申請では、技能・日本語の試験合格、雇用契約書・支援計画書の作成、COE交付申請、査証取得という流れを踏みます。受入れ企業には10項目の義務的支援、同等以上の待遇、届出義務が課され、登録支援機関への委託も選択肢の一つです。書類不備、支援体制の未整備、届出漏れ、1号5年上限の見落としは、よくある失敗パターンです。計画的に準備を進め、不明点は出入国在留管理庁の公開資料や専門家に確認しながら進めてください。